なぜ「K-iwami」ブランドは「江戸小紋」の染色技法を採用したのか?

なぜ「K-iwami」ブランドは「江戸小紋」の染色技法を採用したのか?

なぜK-iwamiは「江戸小紋」の染色技法を採用したのでしょうか?

伝統工藝と現代ファッションの融合

現代のファッション市場では、トレンドの移り変わりが激しく、大量生産・大量消費の時代が続いています。そんな中で弊社ブランドの「K-iwami」が打ち出すのは、日本が誇る伝統工藝の技術を、日常の中で気軽に楽しめるバッグやポーチに取り入れるという挑戦です。

その中核をなすのが、「江戸小紋」の染色技法です。

「なぜ、いま“江戸小紋”なのか?」という問いに、K-iwamiは明確な答えを持っています

それは単なるデザイン上の選択ではなく、「伝統の継承」と「現代に生きる美意識」の融合を目指した結果なのです。

江戸小紋とは何か?

江戸小紋は、江戸小紋は、江戸時代に武家の礼装である裃(かみしも)に用いられるようになったのが始まりです。

将軍家を筆頭に、本来無地であった裃に藩の独自の文様の入れ、これを独占的に使用する『お留文様』あるいは『定め小紋』としました。これにより着用している裃の柄を見れば、どこの藩の武士なのか一見してわかるという利便性もありました。これにより「江戸小紋」の染めは飛躍的に発展します。


  【出展:三代目豊国画「大星由良之助1862年(文久二)arcUP1729立命館ARC蔵

 

「江戸小紋」染めとは、武士の裃(かみしも)の柄として発展した細かい文様の染物で、遠目には無地に見えるほど精緻な柄が特徴です。これらの柄は、職人が手彫りで型紙を作り、防染糊を通して一つひとつ丁寧に染め上げられます。その精緻な技術は、まさに“日本の美”の象徴とも言えるものです。

江戸小紋の技法を支えるのは、長年にわたり研鑽を積んできた熟練の職人たち。

特にK-iwamiの製品の染めは黄綬褒章を受章した経歴を持つ中條降一氏に染めて頂いており、その匠の技は一朝一夕に真似できるものではありません。K-iwamiは、その貴重な技術と文化をバッグという形に落とし込むことで、より多くの人に伝えようとしているのです。

          染色 黄綬褒章受章者 中條降一 氏

なぜK-iwamiは江戸小紋を選んだのか?

1. 伝統工藝の技を後世に伝えたいという想い

K-iwamiが掲げるブランド理念のひとつが、「日本の伝統工藝を未来につなぐこと」

職人の高齢化や後継者不足により、多くの技術が消えつつある今、この文化遺産を守るためには、生活の中で「使われる工藝」として再構築をする必要があります。

そこで、日常使いできるファッションアイテムに江戸小紋を取り入れることで、現代人の生活の中に自然に溶け込ませることができると考えました。

2. 形彫りから染色まで、日本人の匠の技が結集

江戸小紋の制作には、三重県の白子町で製作される型紙彫りという技術が欠かせません。これは型紙を掘る職人さんが先の細い道具でひとつひとつ小さな柄を掘っていくというもので、1枚が完成するのが、早くて3,4ヶ月、柄によっては一年近くかかるという繊細な作業なのです。


         三重県白子町の職人さんの型紙の製作風景

江戸小紋染めは、その型紙を使っての染色、その後・防染・染色・水洗い・蒸しなど、非常に多くの工程が存在します。それぞれの工程に熟練の技術が必要であり、ひとつの作品を仕上げるために多くの職人の技が結集しています。

K-iwamiはこの「技の連携」に感銘を受け、ただの模様ではなく、背景にある人と技術の価値を製品に込めています。

3. 遠くから見ると無地に見え、近くで見ると柄が見えるという上品で控えめな美

江戸小紋の最大の魅力は、近づいて初めてその柄の美しさに気づくという点です。遠目には落ち着いた無地に見えるため、どんなファッションにも合わせやすく、柄物が苦手な方にも自然に馴染みます。派手さを求めず、奥ゆかしさと品格を大切にする日本人の美意識に非常にマッチしています。コーディネートの幅も広がり、日常でも特別な場面でも使いやすいアイテムに仕上がっています。

4. 匠の技を身近に感じて楽しんでもらいたい

K-iwamiの製品は、ただの「和風」雑貨ではありません。そこには国から認められた伝統工藝士による本物の技術が宿っています。三重県白子町の型紙彫り職人の技や黄綬褒章受章者の手による染色が施されたポーチやショルダーバッグを手にすることで、「本物を持つ喜び」を感じていただきたい。

それは“持つ人”にとって、単なる道具を超えた特別な体験となるはずです。


江戸小紋 × K-iwami が生み出す、新たな価値

K-iwamiは、江戸小紋という伝統的な技法を用いながらも、バッグやポーチといった現代的なアイテムに昇華させています。伝統に敬意を払いながらも、あくまで“今”の暮らしに合うデザイン・機能性を持たせることで、老若男女問わず手に取ってもらえるよう工夫を凝らしています。

デパートなどで「江戸小紋」の着物を買おうとすると、1反35万円から40万円するものと同等、それ以上のクオリティーが、K-iwamiの製品でお求め頂けるのです。

その結果、「伝統工芸 バッグ」「江戸小紋 バッグ」「神ノ糸 繊維」といったキーワードで検索されることも増え、多くの方に関心を持っていただけるようになりました。

最後に ~技術と心を未来へ~

K-iwamiの取り組みは、単なるファッションブランドの一歩を超えています。

それは、日本の伝統文化を“生かす”こと、つまり「残すために変える」という覚悟の表れでもあります。江戸小紋の繊細な美しさ、そこに込められた職人の想いを、次世代へと繋ぐために――。

私たちはこれからも、伝統と現代の架け橋となる製品づくりを通して、「日本の美」を世界に届けてまいります。


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